フルミスト(経鼻インフルエンザワクチン)の有効性と安全性について
- 2025年9月26日
- 予防接種
今月、製造会社である第一三共からフルミストの使用成績調査が公表されました。
⭐︎有効性について
2025年1月1日から2025年3月31日の期間に有効解析対象となった2392例を調査。内訳は、フルミスト接種136例(5.7%)、フルミスト以外のインフルエンザワクチン接種888例(37.1%)、ワクチン未接種1368例(57.2%)。結果、PCR検査によるインフルエンザ判定の陽性について、ワクチン未接種に対するフルミストの調整オッズ比は0.433であり、ワクチン有効率は56.7%(95%CI:25.7−74.8%)。
ちなみに公表されてはいませんが、個人的に算出した参考値として、フルミスト以外のインフルエンザワクチンのオッズ比は0.50で、ワクチン有効率は50%(95%CI:41−62%)の結果。およそ5割の有効率を“有効なワクチン”と解釈するかは個人の判断ですが、本調査では点鼻液と注射では有効率に大きな差はなかったようです。
⭐︎安全性について
2024年9月1日から2025年3月31日の期間に安全性評価対象となった2365例を調査。接種日から14日以内に発現した有害事象のうち、フルミストとの因果関係ありと判定されたものは626例(26.5%)で、鼻水・鼻詰まり442例(18.7%)、咳嗽174例(7.4%)、発熱168例(7.1%)、頭痛101例(4.3%)、咽頭痛92例(3.9%)。28日以内に発現した重篤な副作用は2例で(アナフィラキシー反応1例と血小板数減少1例)、いずれも治療によって回復。この調査では、これまでに知られていた安全性と大きな差はなく、新たな懸念点は認められなかったとしています。
これらの調査結果を受けて、当院でも引き続きフルミストを使用していきます。ただし、有害事象にあったように、鼻炎や喘息のコントロールが悪い方には、注射のインフルエンザワクチンをお勧めします🦒